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創業支援という名のアリ地獄 | 日々雑感

ラジオCMや広告などで「創業支援」の単語を接することが増える。





創業社数を増やして、
安倍政権の「一億総活躍」の振り返りで、
「会社が増えて、経済は上向き」
とかいう統計のマジックにつかわれるのだろう。


自分自身、起業してみて、
創業自体は、思っていたよりも簡単である。

問題は、そのさきで、
起業してからにある。

その昔、金融業界にいたとき、
大手の企業の社長さんらと会える立場で、
利益率の改善とか、資本回転率を上げましょうとか、
そういう話をしていて、経営というのを、簡単に見ていたことがある。

しかし、実際に、自分が創業し、経営というのをやってみると、
いかに難しいことを相手の企業に言っていた、
ということに気づいた。

利益を出すというのが、いかに難しいか。
そして、そもそも、売り上げをどう作るのか。


創業融資もかなりやっかい。

日本の場合は、
銀行等からの借入をする時に、
代表者個人の連帯保証を求める、という業界慣習がある。

そもそも、創業したてのころは、
銀行からの借り入れさえできない。
何かしらの制度融資を利用する。

個人と企業を切り離す形が理想なのだが、
日本では、企業の失敗リスクを代表者が負う。
そういう状況で、日本では一回失敗したら、再起が難しい。

ベンチャー大国、アメリカでは、
2・3回失敗しているのが当たり前で、
その失敗していることが財産となり、
次の創業時の投資や融資の評価につながる。

失敗することで学ぶことも多いし、
ビジネスの勘所をつかむことにもなる。


今、流行りの「創業支援」で、
代表者連帯の創業資金が供給されて、
たくさん企業の箱ができる。

そういう創業支援の一環で、
銀行等でだぶついているキャッシュが社会に流れることにもなり、
これ自体は悪いことではないと思う。

しかし、そのうちの大半は失敗するだろう。
一般的に
最初の5年間で80%のビジネスが廃業
と言われている。

ベンチャー投資で、投資して、M&AやIPOなでのエグジットできるのは、
100社のうち2-3社あればいい、という確率。
残りは、途中で頓挫する。

そして、企業が破綻すると、
代表者が連帯で資金を返却する。
そういうアリ地獄がたくさん生まれそう。


「創業」に対するネガティブなことを書いてしまったが、
実際は、私は創業肯定派。


お役所が指導する創業に対しては、否定的。

たとえば、「事業計画」。
融資やサポートの際に、
「事業計画」を求められるが、
肝心のお役所にそれを使いこなせない。

というよりも、お役所文学に基づく「事業計画」となる。

理論上は成り立つんだけど、
あくまて机上の空論だったり、
何か事業環境・前提条件が変わった時に、
方向展開や修正ができない。

もし、お役所に経営マインドがあれば、
第三セクターの破綻は起きなかったはず。


アジアなどにいくと、
なんでも商品にしてしまう、
地元の人の商魂たくましさを感じるし、
そういうビジネスの自由度を感じる。

「どうせやっても無駄」
「大手にはかなわない」
などの日本に漂う閉塞感とは逆の雰囲気。

高度成長期やバブル時に、日本人が捨て去ったマインドかもしれない。


創業自体は、簡単であり、
やらないよりもやったほうが、
普通にサラリーマンをやるよりも、
いろいろと面白いこともある。

世の中は、チャレンジに溢れていて、
機動力持って挑めば、チャンスをつかめる可能性は十分ある。



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