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「小石川一丁目 1番~8番地内埋蔵文化財発掘調査」の見学会 | 2017-02-11 の日々雑感

小石川の遺跡見学会。歴史の上で生活をしていることを、改めて実感です。

「小石川一丁目 1番~8番地内埋蔵文化財発掘調査」の見学会 | 2017-02-11 の日々雑感



東京都文京区で現在進行している、「春日・後楽園駅前地区市街地再開発」。

文京区の区役所である文京シビックセンターの、北側エリア一帯を古いビルを壊し、新たな施設ビルなど建てる計画。

古いビルを壊し途中で、今まで隠れていた地面が現れている。

それを利用して、区の教育委員会(だと思うが)の方々が、遺跡発掘作業を行なっている。

調査名は「小石川一丁目 1番~8番地内埋蔵文化財発掘調査」。

今まで、土の上に建物が乗っていて、下の土の中は見れないし、 さらに、これだけの土地を掘り下げるというのは、遺跡発掘の予算ではとうてい賄えないから、 こういう建設のときが、絶好のチャンスだというのがよくわかる。

その遺跡の様子を一般人が見学できる案内が、 「こっそり」と、現場近くの壁に貼ってあった。 行政の住民説明会のように、みなさんに公開しました、と事実だけを作るような雰囲気にも似た感じを、「こっそり」に感じる。

その開催日である、2017年2月11日の土曜日に、行ってみた。

「こっそり」ではあったが、1組20-30人ぐらいで、3−5組くらいの人たちが集まっていたように感じる。

地層は厚く、江戸時代の大名屋敷の器類、池の跡、 弥生時代あたりの土器なども出てきて、 いつも住んでいる足元に、歴史が重なっているのが、実感する。


なお、写真撮影はNG。
なので、様子はお見せできない。

あとで、文京区関連のSNSを見ると、「なぜ、写真がだめなのか」と怒っている人たちの投稿が多い。 たしかに、何度も見るということはできず、今回の見学会、これ一回しかないのだから、記念に撮っておきたいと思う人は多いはず。

撮影している過程で、その撮影者が何かを発見してしまった時の対応か?
あるいは、今回の発見を何かの形で発表した際に、後から何か捏造している、と指摘されないための予防か?
などと、考えてしまう。

最近、美術館などでは作品の写真撮影がOKとなってきている。 その作品の所有者がOKならば、ということにはなるが。

今回の、埋蔵物の場合、その所有者は誰かという点を見て見ると、 このような文化財発掘の場合、その発掘物の所有権の取り扱いは以下のようになるという。


埋蔵文化財は、通常の落し物と同じように扱われる。

発掘した埋蔵文化財は、遺失物法に基づき、警察署に落とし物として届け出る。

ただし、埋蔵文化財というだけに、その管理を含めて、警察署で預かるのは無理なので、「埋蔵物発見届」を提出して、拾ったものを届け出たという手続きで代用する。

その後は、通常の落し物と同じ扱いで、警察署による14日間の公告、所有者が現れるのを6ヶ月間待つ。 (公告期間が3ヶ月とされている遺失物の拾得の場合よりも長い。)

6ヶ月間を経て、誰も所有者として名乗り出なかった場合は、その埋蔵文化財は、発見者の所有となる。 発見者が私人の場合、文化財の所有は、国や自治体に移り、発見者には報奨金が支払われる。

そういう点で考えれば、 縄文時代や弥生時代の埋蔵物は、さすがに所有者はいないだろうから、そのまま自治体の所有になる。 江戸時代あたりのは、所有者が現れる可能性はゼロとは言えない。 大名の末裔というのも、まだまだいたりする。

しかし、いたとしても、 文化的には価値があっても、金銭的価値があるのかどうかは不明で、もらっても困るから、名乗り出ないと思う。


案内書面に「写真NG」とは一言も書いておらず、 写真を撮る人にこっそり言うのではなく、きちんと理由をつけて公言すればいいのに、と思う。


文京区といえば、あの建設許可が取り消しになったマンション「ル・サンク小石川後楽園」は、どうなったのだろうか。

あれから、一年近く経ち、建物は、完成状態のまま、無人の状態が続いている。 購入者と開発業者間で係争中なのか、どうかは知らないが。 そろそろ、行政が介入しないと、何も進展しないと思うが。


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